技術情報

オーバーラップトリガ機能

該当製品

はじめに

トリガモードにおいて、トリガ入力の間隔を出来る限り狭くしたいという強い市場要求があります。この要求に対応するため、当社のカメラにはオーバーラップトリガ機能が搭載されたモデルがあります。

  1. 1.オーバーラップトリガ機能とは
  2. 2.オーバーラップトリガが利用可能なモデル
  3. 3.オーバーラップトリガ機能を有効にするには
  4. 4.オーバーラップトリガ機能での制限事項
  5. Appendix - トリガディレイ機能を使用した露光開始ジッタ抑止

1.オーバーラップトリガ機能とは

トリガ機能利用時のカメラ動作は、以下のシーケンスで実現されます。

(1)トリガ入力
(2) 露光
(3) センサ出力

トリガ機能におけるシーケンス
トリガ機能におけるシーケンス

オーバーラップトリガ機能を使用しない場合、連続トリガ入力におけるトリガ間隔は上記シーケンスの期間より広くする必要があります。
これに対しオーバーラップトリガ機能を使用した場合、(3)センサ出力が完了する前に次のトリガ入力を入力出来るようになります。

オーバーラップトリガ機能
オーバーラップトリガ機能

2.オーバーラップトリガが利用可能なモデル

2021年9月現在、下記のモデルでオーバーラップトリガが利用可能です。

  • EX シリーズ (CMOS・高性能版) - EX670AMG-X
  • DDUシリーズ (CMOS・高性能版) - DDU1607MG / DDU1607MCG / DDU1607MCF / DDU1207MG / DDU1207MCG / DDU1207MCF
  • DUシリーズ (CMOS・高性能版) - DU1207MG / DU1207MCG / DU1207MCF / DU657M / DU657MC
  • BUシリーズ (CMOS・小型) - BU2409MG / BU2409MCG / BU2409MCF / BU1207MG / BU1207MCG / BU1207MCF / BU505MG / BU505MCG / BU505MCF / BU406M / BU406MN / BU406MC / BU406MCF / BU302MG / BU302MCG / BU302MCF / BU238M / BU238MC / BU238MCF / BU205M / BU160MG / BU160MCG / BU160MCF / BU040MG / BU040MCG / BU040MCF
  • BUシリーズ (CCD・小型) - BU030 / BU030C / BU030CF / BU031 / BU130
  • BGシリーズ (CMOS) - BG505LMG / BG505LMCG / BG505LMCF / BG302LMG / BG302LMCG / BG302LMCF / BG205M-CS / BG160M / BG160MCG / BG160MCF / BG040M / BG040MCG / BG040MCF
  • BGシリーズ (CCD) - BG030 / BG030C / BG030CF / BG031 / BG080 / BG130 / BG202 / BG202C / BG202CF
  • BCシリーズ (CMOS) - BC505LMG / BC505LMCG / BC505LMCF / BC302LMG / BC160M / BC040M
  • CSC シリーズ (CMOS) - CSC6M100BMP11 / CSC6M100CMP11

3.オーバーラップトリガ機能を有効にするには

オーバーラップトリガ機能を使用する場合、カメラに対する設定は特に必要ありません。オーバーラップトリガ動作となるトリガ間隔でトリガ入力を行うだけで利用出来ます。

4. オーバーラップトリガ機能での制限事項

オーバーラップトリガを使用する上で、以下の制限事項があります。

4.1.最小トリガ間隔の制限

イメージセンサの動作条件として、オーバーラップトリガ動作は露光終了までにセンサ出力が完了している必要があります。
このためオーバーラップトリガ動作における最小トリガ間隔は、以下の様になります。

a) 再トリガ入力時の露光時間がセンサ出力期間より短い場合

再トリガ入力時の露光時間が比較的短く、センサ出力期間を下回る場合は以下の様になります。

最小トリガ間隔 = 前回トリガ入力時の露光時間 + センサ出力期間 - 再トリガ入力時の露光時間

最小トリガ間隔 (露光時間よりセンサ出力期間が長い場合)
最小トリガ間隔 (露光時間よりセンサ出力期間が長い場合)

露光時間が固定で前回トリガ入力時の露光時間と再トリガ入力時の露光時間が同じ場合、最小トリガ間隔は以下の様になります。

最小トリガ間隔 =センサ出力期間 (露光時間が固定の場合)

b) 再トリガ入力時の露光時間がセンサ出力期間より長い場合

再トリガ入力時の露光時間が長く、センサ出力期間を上回る場合は、再トリガによる露光中に前回トリガの映像出力が終了します。
この場合前回トリガ入力の露光終了後に直ちに再トリガ入力を行えるため、最小トリガ間隔は以下の通りとなります。

最小トリガ間隔 = 前回トリガ入力時の露光時間

最小トリガ間隔 (センサ出力期間より露光時間が長い場合)
最小トリガ間隔 (センサ出力期間より露光時間が長い場合)

c) 最小トリガ間隔より早く再トリガ入力を行った場合

TriggerSequence0 (Edge モード) 及び固定モードの場合、最小トリガ間隔より早く入力された再トリガ入力は無効となります。イベント機能が有効の場合、FrameTriggerErrorイベントが発行されます。
TriggerSequence1 (Level モード) 及びパルス幅モードの場合、カメラは事前に露光時間を得られず最小トリガ間隔を演算できません。このため再トリガ入力は有効となりますが、センサ出力期間が終了するまで露光時間が延長されます。

4.2.再トリガ入力から露光開始までのジッタ

一般的なイメージセンサでは、センサ出力期間に露光開始処理を行うと映像出力にノイズが生じます。このノイズ防止のため、オーバーラップトリガの露光開始は水平ブランキング期間 (ライン間のギャップ期間) に行われます。
この理由により、オーバーラップトリガ機能使用時はトリガ入力から露光開始まで水平出力期間を最大値としたジッタが生じます。

オーバーラップトリガにおける露光開始ジッタ
オーバーラップトリガにおける露光開始ジッタ

水平出力期間について、BCシリーズなど仕様書及び取扱説明書に水平タイミングの記載がある機種はそちらをご参照願います。
記載のないモデルは、以下の式で概算値を算出できます。

水平出力期間 = 1,000,000 / AcquisitionFrameRate / Height [us]

Appendix - トリガディレイ機能を使用した露光開始ジッタ抑止

4.2で記載した露光開始ジッタについて、一部のモデルではトリガディレイ機能を使用する事によりジッタ発生を抑止出来ます。
トリガディレイを水平出力期間より長い期間を指定する事により、カメラはジッタを抑止します。

露光開始ジッタ抑止機能をサポートする機種は、以下の通りです。

  • DDUシリーズ (CMOS・高性能版) - DDU1207MG / DDU1207MCG / DDU1207MCF
  • DUシリーズ (CMOS・高性能版) - DU1207MG / DU1207MCG / DU1207MCF
  • BUシリーズ (CMOS・小型) - BU2409MG / BU2409MCG / BU2409MCF / BU1207MG / BU1207MCG / BU1207MCF / BU505MG / BU505MCG / BU505MCF / BU302MG / BU302MCG / BU302MCF / BU238M / BU238MC / BU238MCF / BU160MG / BU160MCG / BU160MCF / BU040MG / BU040MCG / BU040MCF
  • BUシリーズ (CCD・小型) - BU030 / BU030C / BU030CF / BU031 / BU130
  • BGシリーズ (CMOS) - BG505LMG / BG505LMCG / BG505LMCF / BG302LMG / BG302LMCG / BG302LMCF / BG160M / BG160MCG / BG160MCF / BG040M / BG040MCG / BG040MCF
  • BCシリーズ (CMOS) - BC505LMG / BC505LMCG / BC505LMCF / BC302LMG / BC160M / BC040M