AI・ロボティクス時代の“目”を学ぶ
~ゼロからわかる!産業カメラ入門~
⑥ 照明の重要性
この資料では、産業用カメラにおける「照明」の基礎と重要性を学べます。
光の色や波長、照明光源の種類、照射方法、照明形状による特長の違いなどを体系的に解説。被写体の見え方を最適化するための照明選定や応用のポイントを理解します。
照明の役割と重要性
照明は、人工的な光源により対象物を明るく照らす役割があります。
一般的には、空間全体を均一に照らす照明と、特定の対象を局所的に照らす照明に分けられます。
マシンビジョンでは、単に被写体を明るく照らすだけでなく、撮影対象の特徴を明瞭に抽出し、画像処理に適した画像を取得することが重要です。そのため、「光の色」「光の広がり方」「照明位置」などを最適化し、目的に応じた照射条件を実現する工夫が求められます。
このように、照明は、マシンビジョンにおいて重要な役割を果たす要素の一つです。
光の色と波長
光は「電磁波」の一種で、波として空間を伝わるエネルギーです。
この光のうち、私たちの目で見ることができる範囲を「可視光」と呼びます。
太陽光などの白い光は一色に見えますが、実際にはさまざまな色の光が混ざり合っています。白い光を「分光プリズム*1」に通すと、虹のように「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」の7色に分かれて見えます。この“色として見える範囲”が可視光であり、これらの色の幅を「可視光スペクトル」といいます。各色の光は、それぞれ異なる「波長」を持っています。
- 可視光の波長は、一般に約 380~750 nm の範囲です。
- 波長が短い側が紫(スミレ色)、長い側が赤になります。
また、可視光の外側には、人の目では見えない「紫外線」や「赤外線」といった電磁波が存在します。これらを含めた、光全体の波長分布を「電磁スペクトル」といいます。
出典:日東光器(株)Webページ
https://www.nitto-optical.co.jp/products/basic-prism/
出典:大塚電子(株)Web資料
https://www.otsukael.jp/weblearn/chapter/learnid/87/page/2
照明色による被写体の見え方
マシンビジョンでは、白黒カメラと単色照明を組み合わせて撮影することがあります。
白黒カメラは色の違いを明るさの違いとして捉えるため、被写体の色と照明の色の関係が画像に大きく影響します。
- 例えば、白色光で青色の被写体を照明すると、被写体は青色の光を反射し、赤色や緑色の光を吸収するため、人の目やカラーカメラでは青く見えます。
- 白黒カメラの場合、「青色の光」 で 「青色の被写体」 を照明すると、反射する光が多いため明るく(白っぽく)撮影されますが、補色である 「黄色の被写体」 を撮影すると暗く(黒っぽく)撮影されます。
このように、被写体の色と照明の色を適切に組み合わせることで、対象物の特徴や輪郭をより明瞭に撮影できます。
- 実際の適用例については、マシンビジョン用照明メーカーのWebなどを参照してください。
(加色混合)
(減色混合)
マシンビジョン用照明の光源
| 光源名 | 寿命(時間) |
スペクトル特性
白色の例
|
発熱 | 特長・用途例 |
|---|---|---|---|---|
| LED | 20,000〜50,000+ | 単色〜広帯域(選択可) ![]() |
低 | 長寿命・省電力・波長選択性良好・安定性高 |
| 白熱電球 | 約1,000 | 連続スペクトル(暖色) ![]() |
高 | 安価・自然な色再現・熱に注意 |
| ハロゲンランプ | 2,000〜4,000 | 連続スペクトル ![]() |
高 | 高輝度・色再現性良好・熱対策必要 |
| キセノンランプ | 500〜1,000 | 太陽光に近い連続光 ![]() |
中〜高 | 高速撮影・ストロボ用途に最適 |
| メタルハライドランプ | 約10,000 | 広帯域(演色性良好) ![]() |
中 | 工場ライン・広範囲照明に適する |
| 蛍光灯 | 約10,000 | 不連続スペクトル ![]() |
低 | 安価・省電力・ちらつき対策必要 |
:可視光域
マシンビジョン用照明の種類と機能
照射方法
マシンビジョン照明は、光の照射方法により、次のように分類されます。
①ハイアングル
- 被写体から離れた高い位置から、照射面に対して垂直に近い角度で光を照射する方式です。
- 被写体全体を均一に撮影する用途に適しています。
②ローアングル
- 被写体に近い位置から、照射面に対して平行に近い角度で光を照射する方式です。
- 表面の凹凸やエッジを強調した画像を取得できます。
③同軸落射
- 撮影レンズと同じ光軸上に照明を配置し、被写体表面に対して垂直に光を照射する方式です。
- 反射率が高く平滑な表面の観察に適しています。
④透過
- バックライトとも呼ばれ、被写体の背面から光を照射し、透過した光を観察する方式です。
- 透明または半透明な対象物の内部構造や輪郭の観察に適しています。
照明の形状
| 照明方式 | 形状 | 照射方向 | 照射形態の特長 | 主な用途 | 得られる効果 |
|---|---|---|---|---|---|
| バー | 細長い棒状 | 一方向 (斜め・横) |
任意の角度・方向から 照射可能 |
エッジ検出、刻印検査 | 設置の自由度が高い 1台だけでは、均一な明るさになりにくい |
| リング | 円形 | 斜め | 均一な円形照射 | 表面検査 | 均一照射で反射ムラが少ない 高さのある対象には不向き |
| 角形 | 四角形 | 多方向 (四辺) |
四辺から均一照射 | 外形検査、寸法測定 | 四方向からの照射で影が少ない |
| 面 | 平面状 | 均一な面から | 均一な広範囲照射 | 輪郭抽出、透過照明 | バックライトによる形状検査や 物体内部を透過光で観察が可能 |
| ドーム | 半球状(ドーム) | 多方向・拡散 | 拡散光で影が出にくい | 光沢・凹凸表面の検査 | 表面状態のムラ、凹凸の陰影を抑えた画像が得られる 凹凸の欠陥観察には不向き |
出典: シーシーエス(株)画像処理用照明
https://www.ccs-inc.co.jp/product/vision/





