AI・ロボティクス時代の“目”を学ぶ
~ゼロからわかる!産業カメラ入門~
② カメラの主要コンポーネント
産業用カメラはPCと組み合わせて撮影機能に特化し、センサ、画像処理、制御、レンズ、照明などの要素で構成されます。写真用カメラと異なり、トリガ制御や専用インターフェースで高精度・高速処理を行い、用途に応じた最適な画像取得が可能です。
本講座では、各コンポーネントの基本的な機能を理解します。
写真用カメラと産業用カメラ
- 「産業用カメラ」は「マシンビジョンカメラ」とも呼ばれ、一般的な「写真用カメラ」とは異なる機能を持ちます。
- 「産業用カメラ」は 、「PC」などの機器と組み合わせることで、撮影機能に特化し、様々な用途に適応させることができます。
- 本書では「産業用カメラ」のコンポーネントについて紹介します。
各コンポーネントの機能と比較
| コンポーネント | 機能 | 写真用デジタルカメラ | 産業用カメラ |
|---|---|---|---|
| イメージセンサ | 光を電気信号に変換する部品 | CCDセンサ/CMOSセンサ | CCDセンサ/CMOSセンサ |
| 画像生成 | イメージセンサの信号を画像にする | 画像処理CPU(画像エンジン) | Process、DSP、専用IPコア等 |
| システム制御 | 撮影条件を制御する | システム制御回路 | システム制御回路等 |
| シャッタ | 撮影するタイミングを指示する | シャッタボタン/セルフタイマー | フリーラン/トリガ制御 |
| レンズ | 被写体の光を集めてセンサに像を作る | カメラに内蔵/専用交換レンズ | 汎用交換レンズ |
| ファインダー画面 | 構図を確認するための画面 | ファインダー/内蔵液晶モニタ | PCモニタ |
| 画像記録 | 規定の画像形式で撮影画像を記録する | JPEG、RAW、MP4形式など | JPEG、RAW形式など(PC依存) |
産業用カメラ
イメージセンサ
- 「イメージセンサ」は「撮像センサ」などとも呼ばれ、光を電気信号に変換する部品です。
- 近年は主に「CMOSセンサ」を使用していますが、以前は動作や製造方法や構造が異なる「CCDセンサ」が使用されていました。
- イメージセンサは「画素」と呼ばれる小さな光電変換センサが並んでおり、その配列により「ラインセンサ」と「エリアセンサ」に分けられます。
- ・ラインセンサ・・・画素がライン状に一列に並んでいます。カメラの視界内で被写体が動くことで撮影します。
- ・エリアセンサ・・・画素が格子状に並んでいます。ワンショットで撮影します。
- 「産業用カメラ」では「写真用カメラ」のような「シャッタボタン」を押さずに、電気的に撮影するタイミングを制御しています。
- ・フリーラン・・・・テレビのように、常に映像を撮影~出力し続けます。
- ・トリガ制御・・・・外部からの電気信号を受けたタイミングで撮影します。
(旧Kodak社製)
(ソニー製)
(東芝テリー製)
画像生成・制御部
- イメージセンサから出力された画像信号は、次のように内部で信号処理され出力されます。
- また目的に適した画像を取得するため、プロセス回路にて次のような信号処理を行います。
- ・ゲイン、オフセット、ガンマ補正/LUT、シャープネス、シェーディング補正、FPN/PRNU補正、画素欠陥補正
- ・ベイヤ-RGB変換、カラーマスキング、RGBマトリックス、ホワイトバランス、RGBゲイン(カラーゲイン)、HUE、カラーサチュレーション、RGB-ベイヤ変換
→ カラーカメラ専用の機能
画像出力部
- 生成された画像は、画像データとして「通信ケーブル」を介してPCに送られます。
- 産業用カメラでは、PCとカメラとのやりとりのため、主に次に示す業界標準の「インターフェース」と「通信プロトコル」が使われます。
- ・インターフェース
- ① USB3 Vision・・・ USB3インターフェースを用いた業界規格
- ② GigE Vision・・・・Gigabit Ethernetインターフェースを用いた業界規格
- ③ CoaXPress・・・・ 産業用カメラ業界の高速インターフェース規格(CXPともいう)
- ④ Camera Link・・・ 産業用カメラ業界で長年使用されている規格
- ・通信プロトコル
- ① GenICam・・・・ 異なるインターフェースのカメラを、メーカやモデルに依存することなく、統一された汎用的なAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)でカメラを制御する
- ② IIDC2・・・ カメラ機能をレジスタ(レジスタ空間)に定義し、カメラ内部のレジスタを直接 USB読み書きすることでカメラを制御する
- ・インターフェース
USB3 Vision、GigE Vision、Camera Linkは、A3 (Association for Advancing Automation) の商標または登録商標です。
CoaXPress、IIDC2は、JIIA (Japan Industrial Imaging Association)の商標または登録商標です。
GenICamは、EMVA(European Machine Vision Association)の商標または登録商標です。
カメラケーブル、PC
- カメラとPCとを接続する 「カメラケーブル」 や 「コネクタ」 は、インターフェース毎に異なります。
- またケーブル長もインターフェースの仕様により、制限されることがあります。
- PCは用途により要求性能が異なりますが、GigE VisionやUSB3 VisionカメラはノートPCでも使用できます。
また、ハブを使用することでPC1台で複数台のカメラを接続することが出来ます。 - CoaXPressやCamera Linkでは、フレームグラバボードを用いるため、デスクトップPCを使用することが一般的です。
(ノートPC使用)
(デスクトップPC使用)
(カメラ複数台接続)
レンズ
- 「レンズ」 は被写体からの光を集めてイメージセンサに像を結びます。
- レンズの種類によって、撮影できる画像の特性が変わります。
- ・広角レンズは広い範囲を撮影できます。
- ・望遠レンズは遠くの被写体を大きく撮影できます。
- ・広角や望遠は、イメージセンサの大きさとレンズの焦点距離で決まります。
- レンズには 「絞り」 と呼ばれる孔の開いた部品が付いており、次の機能があります。
- ・絞りの孔径を小さくすると光の量が減少します。またピントの合う範囲(被写界深度)が深くなり、背景までピントが合いやすくなります。
- ・逆に、絞りの孔径を大きくすると光の量が増加し、被写界深度が浅くなります。
照明
- 産業用カメラの 「照明」 は、様々な形態のものがあり、目的に応じて照明方法を使い分け、最適な画像を撮影します。
- ・バー照明
- ・リング照明
- ・面(フラット)照明
- ・ドーム照明
- ・同軸照明
- また照明の色(波長)により、被写体の見え方が変わります。
- ・白色
- ・単色(青色、緑色、赤色など)
- ・紫外
- ・赤外