AI・ロボティクス時代の“目”を学ぶ
~ゼロからわかる!産業カメラ入門~
③ イメージセンサの基本
産業用カメラで「眼」となる重要なパーツ「イメージセンサ」は、光を電気信号に変換して画像を生成する半導体デバイスで、「固体撮像素子」とも呼ばれます。
この章では、イメージセンサの種類、構造、基本動作、用語などについて学びます。
イメージセンサとは
産業用カメラには、旧来の写真で 「フィルム」 が果たしていた役割を担う 「イメージセンサ」 が組み込まれています。
「イメージセンサ」 は、光を電気信号に変換して画像を生成する半導体デバイスで、「固体撮像素子」 とも呼ばれます。
カメラは、レンズを通して取り込んだ光をイメージセンサで受け取り、画像を生成したうえで、画像データとしてPCに送信します。
イメージセンサには 「ラインセンサ」 と 「エリアセンサ」 がありますが、本書では 「エリアセンサ」 について解説します。
※(第2回「カメラの主要コンポーネント」 P.6 参照)
〈エリアセンサ〉
画素が矩形のエリア内に格子状に配列
(東芝テリー製)
〈ラインセンサ〉
画素がライン状に一列に配列
(旧Kodak社製)
CCDセンサとCMOSセンサ
一般的なイメージセンサには、構造や製造方法の違いから「CCDセンサ」 と 「CMOSセンサ」 があります。
- ・CCD:Charge Coupled Device(電荷結合素子)
- ・CMOS:Complementary Metal-Oxide-Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体)
近年は、小形、低消費電力、低コスト及び生産等の理由により「CMOSセンサ」 が多く使われています。
| 特長 | CCD | CMOS |
|---|---|---|
| 画質 | 画質・低ノイズ | 回路が多くノイズが多いが近年は改善傾向 |
| 消費電力 | 高め | 低め(省電力) |
| 製造コスト | 高価 | 安価(一般的な半導体プロセスで製造可能) |
| 読み出し方式 | 一括読み出し(シリアル) | 個別読み出し(パラレル) |
| 読み出し速度 | 低速(転送に時間がかかる) | 高速(並列処理可能) |
| サイズ | 大型化しやすい | 小型化に適している |
(ソニー製)
(東芝テリー製)
イメージセンサの構造
一般的なCMOSイメージセンサは、以下のような層で構成されています。
① マイクロレンズ(オンチップレンズ)
- ・極小のレンズで光を集め、センサの感度を向上させます。
② カラーフィルタ
- ・入射光を色ごとに分離し、各フォトダイオードに伝えます。
- ・白黒センサには使用していません。
③ 配線層(転送回路)
- ・フォトダイオードの電荷(電子)を取り出し、増幅器を経由し電圧変換を行い、映像を出力します。
④ フォトダイオード
- ・光の強弱に応じて電子を発生させ、電気信号に変換する小さな光電センサです。
- ・カラーフィルタ、及びマイクロレンズと組み合わされて 「画素」 と呼ばれ、エリアセンサではたくさんの画素が格子状に並んでいます。
⑤ 信号処理回路、タイミング生成・駆動回路等
- ・受光面の周囲には、画素内のトランジスタ(FET)駆動回路やデジタル信号変換回路などがあり、これら全体でセンサを構成しています。
(模式図)
イメージセンサの基本動作
① 光の取り込み(集光)
- ・カメラのレンズが、被写体からの光を集めて、イメージセンサ上に像を結びます。
② 光の電気信号への変換
- ・イメージセンサは、光(フォトン)を電気信号(電荷・電子)に変換します。
- ・各画素は、光の強さに応じて電子(CCDは電荷)を蓄積します。
③ 電気信号(電子)の読み出し
- ・蓄積された電子は、増幅器などを経由し、アナログ信号として読み出されます。
イメージセンサの用語解説
① 画素数
- ・イメージセンサに搭載されている画素の総数です。
- ・画素が多いほどより細かい画像を撮影できます。
たとえば「400万画素」は、約400万個の画素で画像を構成していることを意味します。英語では4MPや4Mpix(4メガピクセル)と表現します。
② 解像度
- ・画像の細かさを表す指標です。
- ・一般に「横×縦の画素数」で表されます。
(例: 1440 (H)×1080 (V)画素) - ・解像度が高いほど、細部までくっきりと映ります。
③ 画素サイズ(画素ピッチ)
- ・1つの画素の大きさのことです。(大抵マイクロメートル(μm)単位が多い)
- ・画素サイズが大きいと、より多くの光を取り込めるため感度が高く、暗い場所でもノイズの少ない画像が得られます。
④ 撮像サイズ
- ・イメージセンサが実際に画像を記録する領域の大きさで、「イメージサイズ」とも呼ばれます。
- ・産業用カメラでは、撮像サイズは「対角11mm」、「2/3型」等と表現されます。
⑤ アスペクト比
- ・画像の横と縦の比率です。
- ・例えば 「4:3」、「16:9」、「1:1」 等があります。
⑥ 走査方式
- ・イメージセンサがどのように画像を読み取るかの方式です。
- インターレース走査:
奇数行と偶数行を交互に読み取る方式(主にテレビ方式で採用、転送帯域低減) - プログレッシブ走査:
すべての行を順番に読み取る方式(動画向き)
- インターレース走査:
⑦ 電子シャッタ方式
- ・シャッタを電子的に制御して露光時間を決める方式です。主に以下の2種類があります。
- ローリングシャッタ
画面を上のラインから順に読み取る方式。シンプルな画素構造で低ノイズ、高感度。動きのある被写体で歪みが出ることがある。 - グローバルシャッタ
全画素を同時に読み取る方式。動きのある被写体でも歪みが少ない。
- ローリングシャッタ
⑧ 出力フレームレート
- ・1秒間に何枚の画像を出力できるかを示す値です。
- ・単位は「fps」で、例えば「60 fps」は1秒間に60枚の画像を出力(撮影)できることを意味します。
⑨ オンチップカラーフィルタ配列
- ・イメージセンサの各画素に配置された色フィルタの配列です。
- ・代表的なものに 「ベイヤ(Bayer)配列」 があります。
イメージセンサの技術的進歩
近年のイメージセンサは、より高画質、高性能にするため、様々な技術を取り入れています。
① 高感度
- ・裏面照射型など、センサの構造を変えることで高感度化を図っています。
② ノイズ低減
- ・CMOSセンサでは、CCDに対して不利であったノイズを低減する技術が進んでいます。
③ 広ダイナミックレンジ(WDR)
- ・明るい部分と暗い部分のコントラストを同時に映像出力できる技術です。
④ グローバルシャッタ(GS)※ RS=ローリングシャッタ
- ・画面全体を同時に撮影することで、動体撮影時の画像の歪みを防止します。
⑤ 部分読み出し(ROI、WOI、AOIなど)
- ・エリアセンサ画面内で、任意の矩形領域の画像のみ読み出す技術です。
余分なエリアを読み飛ばすことで、出力フレームレートの高速化が可能になります。
⑥ デジタルシリアルインターフェース
- ・初期型CMOSセンサではデジタルパラレル信号出力が主流も、近年はシリアル信号での出力がメインとなり、
センサパッケージの小型化が進み、カメラ全体の小型化に貢献しています。
⑦各種補正機能
- ・半導体プロセスの微細化でレンズ歪補正や画素欠陥補正などの複雑な回路も搭載可能に。
カメラシステムの小型化や高画質化が図れるようになります。