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バス同期モード (USB3カメラシリーズ)

はじめに

弊社USB3カメラを複数台使用したアプリケーションにおいて、容易に露光タイミングを揃えることができる「バス同期モード」機能があります。
「バス同期モード」を使用することにより、ステレオカメラ、モーションキャプチャ、マルチビジョンロガー等に最適な環境を提供します。

1. 概要

「バス同期モード」は、ハードウェアトリガ信号を使用せずに複数のカメラの露光を同期することができる機能です。
バス同期モードでは、カメラはUSBバスの定期的な「アイソクロナスタイムスタンプパケット」(ITP)と同期されます。
アイソクロナスタイムスタンプパケットは、ホストPCからすべてのUSBデバイスにタイムスタンプを配信するために使用されます。これは、ハブによってすべてのダウンストリームポートにマルチキャストされます。
ここでは、バス同期モードの機能、動作条件と注意事項について説明します。

図1:「バス同期」機能動作イメージ
図1:「バス同期」機能動作イメージ

2. 機能説明

2.1. バス同期モード: FrameSynchronization = Bus

バス同期モードは、USBバスのタイムスタンプを利用して、同じバスに接続された複数のカメラの露出を同期させる機能です。
バス同期モードでは、ハードウェアトリガ信号を使用せずに、複数のカメラの露光を同期できます。

図2:バス同期モード
図2:バス同期モード

2.2. 内部同期モード: FrameSynchronization = Off

内部同期モードでは、各カメラは個別のタイミングで動作し、露光は同期されません。

図3:内部同期モード
図3:内部同期モード

3. 動作条件

3.1. カメラモデル

同期するカメラは同じモデルである必要はありません。カメラのフレームレートが最も遅いモデルに合わせる必要があります。
たとえば、BU040M(最大523fps)とBU160M(最大240fps)を同期する場合は、両方のカメラのフレームレートを240fps未満に調整します。

3.2. トリガモード

バス同期モードはノーマルシャッタモードで動作します。(トリガモード = Off)
ランダムトリガシャッタモードでは、トリガ入力信号が優先されます。(トリガモード = On)

3.3. 露光時間

露光時間はフレームレート期間より短くする必要があります。
カメラごとに露光時間が異なる場合があります。この場合、露光の最後が同期されます。

図4:バス同期モード時の露光時間
図4:バス同期モード時の露光時間

3.4. バストポロジ

3.4.1. 単一ホストコントローラで複数のポートを持つカード

異なるポートに接続されたカメラを同期できます。
各ポート間の時間差は約200~300nsです。時間ジッターは数十nsです。

図5:単一ホストコントローラで複数のポートを持つカードを使用時
図5:単一ホストコントローラで複数のポートを持つカードを使用時

3.4.2. USBハブ

複数のカメラを接続する場合は、USBハブを使用することもできます。
USBハブの遅延時間も、ハブ1台あたり約200~300nsです。

図6:USBハブ使用時
図6:USBハブ使用時

3.4.3. マルチホストコントローラカード(例:4ポートそれぞれにホストコントローラを使用したカード)

4ポートそれぞれにホストコントローラを使用したカードでは、各ホストコントローラが個別のタイムスタンプを持っているため、異なるポートに接続されたカメラを同期させることはできません。

図7:4ポートそれぞれにホストコントローラを使用したカードを使用時
図7:4ポートそれぞれにホストコントローラを使用したカードを使用時

注:
Intel社がネイティブサポートするUSB3ホストコントローラでは、複数ホストコントローラで構成されたポートであっても、各ポートが同じタイムスタンプとなることから、バス同期機能を利用することができます。またそれぞれのポートで帯域の上限近くの400MByte/sを達成できます。

4. 注意事項

4.1. バス帯域幅

バス同期モードにおいて、全てのカメラは単一のホストコントローラに接続される必要があります。
またバス帯域幅の合計は400Mbyte/s未満に制御する必要があります(ホストコントローラのパフォーマンスによって異なります)。
たとえば、3台のBU406Mカメラをデフォルトのフレームレート設定値90fpsで使用する場合、バス帯域幅が許容量を超えてしまう(合計 1080 Mbyte/s)ため、バス同期は機能しません。

図8:バス帯域幅を超える例
図8:バス帯域幅を超える例


バス帯域幅の許容量に収めるには、フレームレート設定を30fpsに下げる必要があります。この場合、合計帯域幅は360MByte/sまで削減されますので、バス同期機能が利用可能となります。

図9:バス帯域幅に収まるようにフレームレートを調整した例
図9:バス帯域幅に収まるようにフレームレートを調整した例

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