1.光の反射
カメラを使って画像を得るためには、撮影レンズにより物体からの光を撮像センサ上に像として結ぶ必要があります。反射照明の場合、光源からの光が被写体で反射することで、いわゆる二次光源として物体から光が放たれ、その光をレンズにより集光・結像しています。ここでは被写体での反射の様子について確認したいと思います。
1.1. 正反射(鏡面反射)と拡散反射(乱反射)
光源から被写体に入射した光は、被写体の表面で反射されます。このとき、一方向からの光が別の一方向に反射されて出て行く際に、”反射の法則”通り、光の入射角と反射角とが反射面に対して同じ角度となる状態を“正反射”、あるいは“鏡面反射”と云います。
これに対し入射光が様々な方向に反射されることを“拡散反射”、あるいは“乱反射”と云います1。鏡などの良く磨かれた表面ではほとんど完全な正反射となりますが、表面が平坦ではなかったり、ざらざらだったりすると拡散反射となります。
目視やカメラによる画像では、正反射の場合は光源そのものを見るように強い光として感じられますが、拡散反射では入射光が様々な角度で反射するため、光源自体が明確に判りません。目に見える物体は、その殆どが照明光の一部を拡散反射しているため、見る位置を変えても様子が変わらずに見えます。また物体表面の“光沢(グレア)”や“てかり”、“艶”は、拡散反射に対して正反射の割合が大きいときに感じます。
1.2. 反射光の色
一般に、被写体の“色”は物体の色材層内からの“拡散反射光”によって生じるもので、“光沢”は被写体表面からの“正反射光”によって生じると云われています。よって正反射による光源の映り込み部は、被写体の色(分光反射特性)は反映されず光源の色がそのまま撮像されることになり、光源色が白色の場合は “光沢(グレア)”や“てかり”の色は白色となります。
2.偏光
2.1. 偏光状態と偏光板
“偏光”とは、電磁波である光の横波(電場、及び磁場)が特定の方向にのみ振動する光のことです。偏光に規則性が無い場合を“非偏光”、あるいは“自然光”と云います。 普通の光は、あらゆる方向に振動している光が混合しており、偏光と非偏光の中間の状態(部分偏光)にあります。
偏光状態には、電場の振動方向が一定である“直線偏光”と、光の伝播により振動方向が変化する“円偏光”、及び“楕円偏光”があります。
“偏光板”は特定方向に偏光した光だけを通過させる光学フィルターであり、非偏光の光から特定方向の偏光のみを選択することもできます。
2.2. 正反射光と拡散反射光の偏光状態
光が正反射する場合は、入射光の偏光が維持された状態で反射されますので、入射光が直線偏光であれば反射光も直線偏光となります。また光が拡散反射する場合は、入射光が様々な方向に反射されたり、物体に吸収・再放射されたりするため、入射光が直線偏光でも反射光は非偏光となります。
3. 光源の映り込みに対する偏光板の効果
3.1. 偏光板の配置と効果
被写体からの反射光の偏光特性を利用し、光学系内に偏光板を入れることで、光源の映り込みによる有害な“光沢(グレア)”、あるいは“てかり”を除去・軽減することができます。この場合、偏光板は光源とレンズの各々に、偏光軸を 90°に直交させ配置します2。この光学配置により、被写体での正反射光(直線偏光)による光源の映り込みは除かれ、拡散反射光(非偏光)のみカメラに到達することで良好に撮影することができます。